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30周年

「カミロボプロレスって今年で30周年なんですよね」

2012年の夏頃、S氏がこんな事を言った。

S氏とは、カミロボの発表で長い間世話になっている人物で、
カミロボプロレスの空想世界についてのデータを熟知し、
細かく記憶している珍しい(?)人物だ。

…あぁ、そうなのか。今年で30周年なのか。
それは完全に忘れていたな。

なんだか他人事のような感じだけど、日々の暮らしの中で
そんな事を考える「空想のリズム」のようなものを
しばらく失っていたことに自分自身改めて気がついた。

「30周年記念大会って開催されないんですか?」

…あぁ、確かに… それは開催される…だろう。開催されるはずだ。
あの世界ではそういうことをちゃんと大々的に行なうだろうな。

その一言をもらった瞬間に、今から少し先の「近い未来」に
カミロボプロレス界で起きるいくつかの場面が
頭の中にパパパッ!と思い浮かんだ。

(あ、これは形にしておかなくては…!)

こういうのって、だいたい瞬間で決まるよな。

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いきなり言い訳

…と、そんなやりとりの後、一時的に気分は盛り上がったのですが…。

すいません… 結論から言うと「30周年」の年のうちに
この物語は完結しませんでした…

えーとですねぇ… 言い訳をさせていただくと…
昔のように、「一人遊び」として
個人的に30周年記念大会を開催する(=遊び散らかす)のならば
今すぐにでも開催できるのですが、
その内容を皆さんにも見ていただけるような形(写真や文章)に
仕上げようと思うとそれなりに時間と労力が必要となり…

今この文章を書いている時点では
2013年の秋を迎えてしまいました…。一年経っちゃったねぇ…。

が、しかし!

僕自身、この30周年には「やっておかなければならない事」があるので…
と言うか、もう大枠が思い浮かんでしまったので、
時間がかかっても、と言うか、
カミロボ界の時間をしばらく止めてでも形にしなければならない! と
思っているのです。

早くしないと32周年になってしまうねぇ…。

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大会を空想する

その後、移動中や寝る前のちょっとした時間に
「もしも30周年大会が開催されたら」という空想をするようになりました。

…しかし、これは大変だろうな。

30周年記念大会となると(カミロボ界の)観客は
全団体の選手が集結する「オールスター戦」を望むだろうし、
そうなると「マドロネック」系の選手たちと
「マックスリーグ」系の選手たちとの長年の確執が
大きな問題となってくるだろうし…。

これは大変だ。

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マドロネックとは

カミロボプロレス界の源流ともいえる
「マドロネック」の一門は、
創始者マドロネックファイターとマドロネックキングによって
その基礎が形成され(これは僕が小学5年生の頃の話)
その後、彼らの弟子や孫弟子らによって大きな組織へと成長。

そして設立から30年が経った現在は、
マドロネック軍、新マドロネック軍、ファイタージムなどに分裂し、
それらが「マドロネック系団体」として
パワーバランスを保ちつつ団体ごとに興行を打っている…

という状態なのです。

ちなみに「マドロネック」とは、僕が小学生の頃に作った造語です。

彼らが落語家の一門だったとするならば、
この「マドロネック」という言葉は
「林家」とか「笑福亭」とかに相当する"亭号"という事になります。

小学生の頃に作った意味不明な造語を
30年近く経った今も使い続ける事は正直キツい部分もあるのだけど(笑)、
まぁ、そう決まっているのだから仕方がない、と開き直っている次第です…。

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マックスリーグ

そしてマドロネック系団体の対極にあるのが
現カミロボプロレス界の最大勢力団体「マックスリーグ」。

マックスリーグとは、かつてマドロネック系団体が全盛だった頃に
冷や飯を食わされた連中が集まって立ち上げた団体の事。

マドロネック系団体は、格闘技路線を追求することで
成長していったのだけど、
そんな流れの中でショーマンシップを追求したことで
周囲からバカにされ、肩身の狭い思いをしたレスラーたちが集結、
マックスリーグを旗揚げし、現在ではカミロボプロレス界の
最大勢力になるまでに成長したのでした。

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空想の話をする事

いやぁしかし、空想の話をするのは
いつまでたっても慣れないなぁ…と思う。

「なんだそのワケの分からない話は…」
「話のディテールが細か過ぎて気持ち悪いなぁ」
「結局、こんな話 誰が興味あるねん…」

もともとカミロボってのは
発表する事を前提として作ってきたものではないので、
対外的にそれを見せて語る時には
その度に様々な自分へのツッコミが沸き上がってきて
どうにも居心地が悪かったのだけど、その感覚は今も変わらないなぁ…。

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マドロネックサンは恐ろしい

さて、そんなマドロネック一門の中で一番恐ろしい存在が
このマドロネックサン。

このヒトは本当に威圧感たっぷりの存在で、
例えるならば、前田日明氏や清原和博氏や金本知憲氏を
足して3で割らずに合体させたヒト、といった感じ。

存在感が大きすぎて、作者である僕自身も
非常に気をつかって接しなければならない存在なのです。

だから、かつてカミロボの取材の時なんかに
このマドロネックサンの事も
「紙で作られた可愛いロボット」として扱われてしまうと
(それは先方が悪いわけではないと理解できていても)
どうにも心が痛んだものです。

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確執が問題

…とまあ、長い時間をかけて形成されてしまった派閥の構造や
選手個人の積年の恨みや嫉妬なんかが複雑に絡み合い、
マドロネックとマックスリーグの間には本当に大きな確執があるのです。

そして、最も大きいのがマドロネックサンとバードマンの確執。

この2人の仲が本当に悪いのだが…
彼らの和解なくして、30周年記念興行は成功しないだろう。

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マドロネックサンとバードマン

マドロネックサンとは、
"初期カミロボプロレス界の主役的存在"であるマドロネックキングの
一番弟子で、王道直系の超大物スター選手だ。

彼はあまりにも強すぎた。彼はその強さで業界の頂点に立ち、
格闘技路線を押し進める中で「格闘王」と呼ばれ、恐れられた。

一方のバードマンはデビューと同時に自身の小さな団体を立ち上げ、
地方の巡業の中でショーマンシップ溢れる空中殺法を披露し、
スター選手へとのし上がった選手。

両者は、基本的な考え方や歩んできた道が全く違うのだ。

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